レニ・バッソ

今日は朝から母親を怒らせ、気が滅入りながらも横浜へ。
HANJIROでスカートやらなんやら買う。この春は古着に戻ってみようかと思います。

そして新宿→初台へ。久しぶりのICC「アート・ミーツ・メディア」
しかし着いたのが16時半で、池田亮二は終わってるし、18時からレニバッソ@パークタワーホールを見に行く予定だったので、落ち着かず。明日も初台に行くので再度見てきます。

レニ・バッソ「ゴーストリー・ラウンド」
はじめてだったので、前評判の「かっこいい系」という括りに不安感を抱きつつも偵察のつもりで行ったのだが、、、
観てよかったー!!!
今年見た中では暫定一位です。久しぶりに見てて感動で胸が熱くなった。

センターの最後列、つまり一番高いところで俯瞰するように見たのだけど、それが効を奏したか?
舞台中央には白い粉?でサークルがつくられている。白を基調とした衣装、照明、舞台で華やかでいて厳かな雰囲気がただよう。
ダンサーがすり足で登場し、サークルを横切りながら行き交う。すり足と衣擦れ(衣装は堂本教子、すごく素敵だった)でサークルの外に軌跡ができ、きづけば円を中心とした八方角へのラインができあがっていた。その延長上に位置するダンサーたちが、互いに反応しあいながら動く。
ダンサー7人がそれぞればらばらばことしたり、ユニットごとに移動したりしてもカオスにならない。常にそれは計算しつくされていて、美しい。余計なものが一つもなく、それでいて複雑な、完全な有機的空間がそこに在った。
たまにはたと両手で脚をはたく動きが入るのだが、その腕の軌跡と音が非常に効果的であった。音響がノイズだったので、そのギャップが良い。

そしてダンサーのレベルの高いこと!たぶん小沢剛さんだと思うのだけど、もう出てきた瞬間に目が奪われた。あらゆる点において非常に上手い。彼は一人で舞台を支配できるレベルだろう。他のダンサーも皆振付を自分なりに体得している感じで、全体として調和がとれていた。

照明が暗転して、粉のサークルに映像が投射され、その中で北村(主宰)が踊るシーンでは、映像がフラッシュのように瞬く。それによってその姿がまるでモーションのように分断され、非常に機械的なイメージを与える。メディアアートっぽい!?みたいな(笑)これがその前の有機的シーンとギャップがあってすごく印象的なものになる。

そのあとはダンサー個々に上から照明を当ててうねりの大きい動きなどで身体性を浮き立たせたり、バックに映像を投射して影を見せながらのユニット行き交いなど。どのシーンも至極「かっこいい」、はたまた「おしゃれ」
どこにどういう意味があるかははっきりはわからないが、“都市の身体”と“コミュニケーション”が随所で問題意識として頭に浮かぶ。
途中、姿勢を正してお辞儀・土下座をする人とその後ろで何度やっても姿勢が崩れる(猿人みたいに首が前に出る)人がやりとりするシーンがあった。正しく動ける(制度化された身体)人が動けない人(あるがままの身体)を必死で矯正していく。結局最後は手も足も無理やりその位置に持ってこさせてお辞儀させる、、、そこから反復の動きのシーンへ展開。
ここだけ少し異色だったかな、ユーモアが感じられた。結構表情作ってたし。
あとは二人だったり何人かで動くときにお互いアイコンタクトで確かめあうっていう振付(決してダンスの準備としての確認ではないと思う)があった。人間らしさというか。

最後の辺でもう一度冒頭の有機的シーンになるんだけど、サークルがない。円の輪郭がそれまでの動きで消されて、他の部分と同化してしまったのだ。「痕跡」の消失。
これには「やられたー!!!」と思った。<時間とは経験、痕跡、現存、実在において有効なものだ> byハイデガー(多分)
結局、舞踊ってのは消え去る“瞬間の芸術”なわけで。それをいやでも思い知らされた。あとやっぱり
身体―時間―空間―都市
だな、と。

残念だったのは、最後のシーン。ダンサーが行き交い、触れ合ったり離れたりする。
ここはまたちょっと違うアプローチなんじゃないかと思うので、これを締めにもってこられると中途半端な感じがする。その前が反転でサークル上の映像の中で北村のソロだったから、そこでキュッとしまった感じになってたし。
やっぱり客に見せる以上、見せる要素・見せる構成を取り入れないといけないんだよなぁ。
この辺は、真の意味での“芸術”とは違う要素なのかもしれない。

終わり方がいまいちだったからか?拍手はそれほどでもなかったけど、私は全体的には大満足の作品だった。前作「finks」を観てないので、今回がレニバッソ的にどの位置づけなのかとかわかんないけど、かなり好きです。かっこいい(笑)北村明子、興味わくわー。早稲田出身!

映像の使い方は結構ニブロールと似てるかも。でもニブロールのほうがポップな感じがする。
ということでレニ・バッソは私の中でかなり上位にくいこんできました。観てよかった。